伝統的いけばな花材辞典

いけばな、特に古典で生けられてきた花は現在、絶滅の危機に直面しております。これらの花々が絶滅することは、いけばなの伝承も途絶えることを意味します。是非、これらの花々についての魅力についてご理解いただきたいと思います。

※これらの花々は切り花としての栽培数が減少し、流通が困難になってきています。自然の中、湖沼などで見ることはできます。

かきつばた(杜若・燕子花)

古流では江戸時代も含めて、よく生けられていた花の一つです。流派を問わず、多くの華道人から好まれてきました。葉組に流派の特徴を見ることができます。
四季に亘って花を咲かすとされ、季節ごとに、花や葉の扱いが伝承されております。

こうほね(河骨)

河骨は水生植物で、湖沼や庭園などではよく見かけられる植物ですが、生産に手間がかかり、需要も減少しています。
いけばなでは特に水辺物として、重用されてきました。また、水揚げが困難な花で古くからその水揚げ技術を競い合いました。

また、花や葉、巻葉(新芽)の扱い方が豊富で「河骨百態」といわれるほど、生け方にバリエーションがあります。

すいれん(睡蓮)

睡蓮も水生植物の一つで、庭園などに植栽されていることが多いです。園芸品種うも多く、特に縄文時代の蓮の実を発芽させた「大賀バス」は有名です。

いけばなでは広口の器に葉や花を浮かべて生けます。

はす(蓮)

蓮も水生植物で、庭園などに植栽されています。切り花ではほとんど流通することはありません。
生ける蓮は小柄な「茶碗蓮」または大型な「本蓮」です。
いけばなでは「開葉」「巻葉」「花」をそれぞれ自然の姿に移して生けます。

流派によっては「三世(現在・過去・未来)」をあらわす生け方もあります。

つわぶき(艶蕗)

つわぶきは庭の植栽ではよく見られるものの、切花としては流通が極めて少ない花です。花の開花時期が短く、花屋さんで目にすることはほぼありません。(鉢植えでは時々みかけますが。
つわぶきは秋から冬にかけて、黄色い花を咲かせます。葉は艶やかでその様子から艶やかな蕗→つわぶきと呼ばれています。

だるまひおうぎ(達磨檜扇)

初夏の花として、また、秋には「ぬばたま」という艶やかな黒い実をつける檜扇は、切り花ではかなり希少な花になりました。
花は黄色からオレンジ色で、一日でしぼんでしまいますが、次々と花を咲かせます。葉の形状から檜扇(ひおうぎ)と呼ばれています。

ぎぼし(擬宝珠)

ギボシも葉は出回るのですが、花は稀にしか見ることはできません。

葉は所謂「擬宝珠」(橋の欄干につくもの)に形が似ているので名づけられました。新芽は「うるい」といって山菜として食用されます。(おおばぎぼしの新芽)

いけばなでは黒ギボシを使うことが多いです。

おもと(万年青)

万年青は古来よりおめでたい植物として、引っ越しの時に贈られた花です。
万年青の古い葉は、新しい葉が出てから枯れ、また、霜から実を守るということから子孫繁栄のおめでたい花とされ、お正月に生けられています。

古流では「大象観(タイソウカン)」という葉にねじれがあるものが生けられます。(関西では「都の城(ミヤコノジョウ)」という葉が真っ直ぐなものが多く生けられています。)